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第2回 ローダウンサスペンションチューニング エンデューロ編


■より多くのライダーがエンデューロマシンの性能を楽しむために

  レアルエキップがサスペンションのローダウンを考えるようになったのは、WR250Fの初期型が出たときからだった。WR250Fの最初期型である'01モデルは、ベースマシンであるモトクロッサーのYZ250Fとほぼ同じサスペンション構成で、エンデューロ、特に日本のライダーが日本のコースでライディングするには、あまりにもモトクロッサーライクなものだった。直進安定性志向で、大きなジャンプやフープスでの限界性能は高いものの、日本のエンデューロ用としてはハード過ぎる。またハンドリングも立ちが強く、タイトターンではスムーズさに欠けるところがあった。

低重心化のため多くのライダーがウッズでの扱いやすさを感じる。


ローダウンサスペンションチューニングは前後サスペンションの内部構造の変更なので、スタンダードと並べてサイズを比較しない限り、外観では見分けがつかない。

  日本でも本当にこの性能が必要とされるのだろうか?大きなストロークと高いシート高は見た目の迫力は満点で、それを乗りこなすことは何かとても格好の良いことのように思えるが、実は本当はもっと現実的なところの性能を要求しているのではないか。レアルエキップはそう考えた。特に「足がつく」ということは何よりも武器になる。足つきが良ければ滑りやすい路面でもマシンを直立させて再スタートできるし、
不意にバランスを崩した時にも足で支えて転倒を防ぐことができる。身長が高いほうではないライダー、女性や小柄なライダーには、ローダウンサスペンションチューニングによるメリットはさらに大きなものになる。つま先がやっと届くか届かないかというマシンでは、なかなか難しいセクションにトライする気にはならないが、足を出してマシンを支えることができれば、積極的に難コースにも挑むことができる。多くのライダーが、より楽しくオフロードを走ることができるはずだ。

■スタンダードを超える性能を

 しかし、単に足つき性を良くするためだけに、リンクの変更や、シートのアンコ抜きなどで対処してしまうと、マシンが本来持っている性能を崩してしまうことになる。リンクの変更は、操縦安定性、ハンドリングそしてサスペンションの特性にも悪影響を及ぼす。シートのアンコ抜きは、快適性を損なうだけではなく、体重移動が難しくなったり、さらにはせっかくのルックスを損なうことにもなる。マシンが本来持っている性能、ハンドリング、走破性、そしてルックスも損なうことなく、ローダウン化を実現するには…。レアルエキップが選んだのは、前後サスペンションのショートストローク加工。他の方法に比較するとコストはかかってしまうが、ライダーにとっては絶対にメリットになる。そして単に足つき性が良いというマシンではなく、エンデューロマシンとしてスタンダードを超える性能を獲得することができる。それがローダウンサスペンションチューニングのコンセプトになった。
  具体的には重心が下がることによりフロントの設置荷重を増やし特に上り坂での落ち着きを得ること。そしてややフロント下がりにセットしてキャスターを立て、旋回性能を向上させる
こと。それらを目標に、前後サスペンションともストロークのショート加工を行い、ダンパー特性を変えず、かつスプリングのイニシャルセット荷重も増やさないようローダウン化。ややフロント下がりでキャスターを立てたディメンジョンとして旋回性能を向上させた。またフロントサスペンションスプリングはソフトなものに変更し、さらにフロントタイヤの路面追従性を高めた。結果タイトターンでの旋回性が驚くほど向上。低くなっただけではなく、今よりもずっと大柄だった車体が、ぐっとコンパクトな印象に変化した。
  サスペンションのショート化によって、当然、どこかで切り捨てなければならない要素が出てくるが、レアルエキップでは最大荷重を犠牲にし、初期のスムーズな動きを優先させることにした。エンデューロでは大きなジャンプや、フープスでの性能よりも、滑りやすい路面でのグリップ、ガレ場や障害物の走破性、そして疲れにくさが重要だからだ。


■毎年変化するベースマシンに対応して

  スタンダードの良さをなるべくスポイルせず、日本のエンデューロ、日本のライダーに最適化したマシンに仕上げるため、ローダウンサスペンションチューニングでは、ローダウンの数値目標ではなく、ベースマシンの操縦性を徹底的に分析して、そのマシンのキャラクターにマッチしたローダウン値、ディメンジョンを探っていく。
WR250Fというベースマシンも、'01モデルから、現在の'07モデルまで、ほぼ毎年サスペンション、ディメンジョンに変更を受けている。
スタンダードのマシンも当然、時代の流れとともに直進安定性志向から、徐々に、旋回性重視の方向へと変わってきており、その点では、レアルエキップのローダウンサスペンションチ

'07モデルではスタンダードよりもフロントの接地感を増して、落ち着きのあるハンドリングを獲得。

ューニングと方向性の一致が見られるといってもいいかもしれない。そのため、ローダウン数値も年々変更し、狙い通りのディメンジョンを完成させている。またこれまではスタンダードよりもクイックなハンドリングを狙ってきたのだが、スタンダードモデルのコンセプトの変化とともに、'07モデルでは逆に、もっと接地感を出し、落ち着きのあるハンドリングへという方向性に変わってきている。
ベースマシンのWR250Fはそれだけ大きく進化しており、ローダウンサスペンションチューニングもそれに対応した変化をしてきたのである。

■ニーズも変化していく

 エンデューロに特化されたローダウンサスぺンションチューニングだが、ライダーや使用されるシチュエーションによって、インプレッションもいろいろだ。内山裕太郎のようなトップランカーの場合には、同じコースを走っていてもアベレージスピードが高く、限界域でのサスペンション性能が重要視されるため、同じローダウンサスペンションでも、よりハードなセットが好まれる。また、JNCCのようにモトクロスセクションが多いレースをメインにしているライダーと、九州の走破性を重視したレースをメインにしているライダーとでは、当然求めるものも変わってくる。しかしまた、レースでは同じような成績

モタードとして最適なジオメトリーを得るために製作したワイドスパンブラケット。
スパン(左右幅)、サスのオフセット量など試作・テストを繰り返した。

のライダーが、同じローダウンサスペンションのマシンに乗って、まったく違う評価を口にすることもある。ライディングスタイルよっても、要求性能はずいぶん違うのだ。
  また、「モタード」というWR250Fの初期型が出たときには考えられなかったオフロードマシンの新しい使い方も出てきた。もちろん、その分野でも特に「日本」のモタードのシチュエーションにあったまったく新しいディメンジョンをトップライダー「JAWS増田」選手とともに模索し、最後にはステアリングブラケットまでをもオリジナルのディメンジョンで製作することになる。結果コンプリートのマシンとして「乗りやすい」という評価をいただけているのはうれしい限りだ。
  まだまだ、その全部の希望をかなえられてはいないのだが、これからも多様化するニーズに応えられるべく開発は続けていくつもりだ。
   
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