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特集 第2回 オフロードバイクの未来考察
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東京モーターサイクルショーから〜
オフロードバイクの未来考察


■感性に訴えるモノ

  モーターサイクルになによりも強く求められるのは感性に訴えかける魅力ではないだろうか。品質や性能だけではなく、デザインや質感、あるいはコンセプトそのものが持つ魅力。東京モーターサイクルショーに展示された、国内外のモーターサイクルをつぶさに見て感じたのは、最近のヨーロッパのモーターサイクルの魅力的な姿だ。
なぜヨーロッパのマシンたちが魅力的な光を放つのか。今回はそれを分析してみたいと思う。

■価値観の転換

  日本の工業製品は常に「安くていいモノ」ものを提供することで、国際的な競争力を持ってきた。しかし、今では、特にモーターサイクルの分野に限っては、意識の転換が求められているように感じられる。つまり「安くていいモノ」から「いいものはそれなりに高い」への転換だ(その裏側に「とにかく安いもの」という軸もあるような気がするが、それは別の機会に)。
  そこに気がついたのが、実はヨーロッパのモーターサイクルメーカーなのではないだろうか。優秀な工業製品の洗礼を受けたヨーロッパ(&アメリカ)のメーカーは、その「品質」面を「見習う」というちょっとずるい方法である程度吸収しながら、彼らが生き残って行くためのモーターサイクルの方向を見つけ出している。では「いいもの」とは何か?それは「ライダー
の感性を刺激する」性能なのではないかと思う。
  そのいい例が、MVAGUSTA や DUCATI などに代表される高価なスーパースポーツだと思うがそれは今回はちょっとカテゴリー違いなので置いておいてもうひとつの方向性が実は「オフロード」に目を向けているのではないかと思うのだ。
  なぜヨーロッパメーカーがオフロードバイクに注目しているのだろうか。それはつまり、オフロードのカテゴリーが本来持つ「マシンを操る喜び」の部分に着目しているのではないだろうか。
  アメリカンは旅といった部分での満足は与えるが、その重さゆえにマシンを操る喜びが薄い。スーパースポーツはその性能を試す場所がそもそも限られる。スピードを最高にあげたときにのみ求められるライディングポジションもその多くの時間では逆に苦痛になってしまう。


MVアグスタは、そのブランド力そして、スペックやデザインからもヨーロピアンスーパースポーツの代表的な存在。所有するだけで得られる満足感は他のモーターサイクルとは一線を画するものだ。



ドゥカティは、個性と感性に訴える乗り味でライダーを魅了し続ける。新しいモタードモデルも、ユニークながら伝統的なイタリアンデザインで熱い視線を浴びている。

ついでに言えば、工業製品としても「スーパースポーツ」という部分での極限のパフォーマンス性能競争では日本に勝てないということに気づき、より感性を刺激するカテゴリーにその存在意義を見つけ出していることに成功しているのだ。
  同時にお客様、つまりライダーたちも扱いきれないハイパフォーマンスや重量に違和感を覚え、それがあまり楽しいことではないことに気づいてきている。身の丈にあった範囲の中で「マシンを操る喜び」を与えてくれる。それが、実はオフロードバイクだ。そして金額もむやみやたらに高価ではない。十分に手が届く範囲なのだ。
   
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■品質の日本製品
  質感のヨーロッパ製品

「壊れない」「コスト」「品質」「環境」「法律」という
違う軸の「性能」に追いまくられている日本のモーターサイクル。 特にオフロードマシンは市場に求められる価格や法律に激しく制約され、本来の性能までを追求できない。 最近の厳しすぎる、メーカーに求められるコンプライアンスや環境への配慮・・・・。
  結果的に、市場が求めるそれらとはまったく関係ない「価格」や「性能」といったニーズと一致することはできず、すさまじい努力の末のマシンが「感性」という観点からはいまひとつ評価されない。

ハスクバーナもやはりスペックだけでは語れない魅力でライダーの支持を受ける。荒々しい用途に使われるマシンながら、ミゲール・ガルッツィの繊細なボディワークが全身を包み込む。単なる機能美を超えたデザインであることは言うまでも無い。

ライダーの視線に触れる部分では、ボルトの材質や形状にまで注意が払われている。

  また、今までのオフロードマシンは「機能美」という言葉に少々よりかかって甘えてしまっていた部分がなかっただろうか。とってつけたようなブラケットやステーがむき出しの保安部品。性能重視でボルトや鉄板が剥き出しのパーツ類。今までは、オフロードもまさにレーサーレプリカ。モトクロスばりのマシンに、灯火類をおまけでつけました的なものが「機能美」という言葉でくるめられて認められてきた。
  しかし、最近はちょっと求められるものが変わってきたのではないだろうか。モーターサイクルに対する嗜好も多様化し、所有する満足感や払う金額に対する対価が、しっかりと求

められる。それに気がついたのが、最近ヨーロッパのメーカーから発表されるオフロードマシンだ。乗車したときにボルトひとつ見えない。見えるボルトはその材質や形状までしっかりとデザインされている。リヤフェンダーの裏を覗いてもサブフレームが見えない。ここまで! と思うほどに神経を使って全体を仕上げている。それでいて「パフォーマンス」が決して劣っているわけではない。余裕の、それでいて「もてあまさないパワー」を持つ排気量。本格的なサスペンションやフレームワーク。今までのオフロードマシンにはなかった「質感」や所有する喜びを求められていることにヨーロッパメーカーはいち早く気づき、それを実現しているのだ。

■浮世絵と彫刻
  2次元と3次元のデザイン

  「デザイン」や「質感」というキーワードが浮上してくると、ヨーロッパの伝統や文化的な背景を無視できない。最近の日本のモーターサイクルと、ヨーロッパのモーターサイクルを比べると、日本のそれは、少々平面的で、ある角度から見るときちんとデザインされていても、その裏側から見ると舞台裏が丸見えということが多く見られる。それに対して、ヨーロッパのマシンはあらゆる角度から見てすきが無く美しい。時にはデザインのためにパフォーマンスを多少犠牲にすることがあるのではないかと思われるほど、デザインに力が込められている。特に注意が払われているのは、ライダーから見た視点での美しさ。これが評価の軸に大きくウエイトを占めているような気がしてならない。シートにすわり、その

BMWは中量級のオフロードスポーツを新たにラインナップした。G650Xシリーズ。ツアラー、ストリートユース色が強かったBMWだが、オフロードマシンが持つ「マシンを操る喜び」を商品化したものといえそうだ。

2気筒の大排気量マシンでありながら「走る」機能に特化した大胆なマシンがHP2 小さなマーケットに向けた大胆で個性的なラインナップは、これまでのマスプロダクトの考え方とは次元が違うものだ。

マシンが走るのに一番ふさわしいスピードが出たときにライダーが満足を得られるようなデザイン。メーター回り、そしてそこから伸びるタンク、シートへかけてのライン。握り締める手の先にあるハンドルやスイッチ類のデザイン…。オフロードマシンはさらに見事だ。スタンディングをしても腰を引いても前屈しても、どこにもボロを見せない。リヤフェンダーからサイドゼッケンが一体になったデザイン。カウルからタンクが一体になったデザイン。あらゆる角度、ライダーの視点から見て、見事に立体を表現しているような気がしてならない。それでいて、オフロードマシンなのだ。スクーターやスーパースポーツとは違う、「オフロードらしさ」を見事に表現している。つまり「かっこいい!」のだ。もちろん、どこかにデザ

インの犠牲になった矛盾やつじつまの合わない部分はあるのだろうと思う。が、なかなかそこを見つけることができないほど、気を抜かずに作られている。もちろん、このように偉そうなことを書きながら、デザインの優先順位や軸がどこに置かれているかを正確に把握したり感じたりすることは難しいのがちょっと悔しかったりするけど…。



■そしてオフロードの未来
  リアルオフローダーへの期待

ヨーロッパ礼賛のつもりでこのようなことを延々と書いているわではない。そんなヨーロッパ車を見ながら、マシンを含めて「オフロードモーターサイクル」の未来はどうなるのだろうかと考えている。しっかりとして答えが出せるわけではなく、ここでそれを書くのはちょっと危険かもしれないが(何が危険と思うかは秘密です…)、でも書いてしまおう。それは「オフロードの未来は大きく3極化するのではないか」ということ。


  ひとつは、コンペティションの世界。モトクロス、トライアル、エンデューロ、そしてスーパーモタード。モーターサイクルを操るという楽しみ方を突き詰めていくと、このカテゴリーになる。マシンに求められる性能に遠慮は要らない。


  ふたつめが、上記に延々と書いたビッグオフロードマシン。アメリカンには飽きた。大排気量だが運動性の高いマシン。旅へと向かう本能、、所有感などをスポイルせず、それに加えて「マシンを操る喜び」が感じられるものだ。


そしてみっつめなのだが、実はこれはまだ世の中には存在していない。私はこれを「リアルオフローダー」と仮に呼んでいる。大きすぎなくて、でも小さすぎない体格に合った車格。過分ではない、しかし、びんびんと感性を刺激するぐらいのエンジン性能。十分に振り回して遊べる軽快な重量。お下がりや安物ではない本物の装備。水冷、アルミフレーム、サスペンション等は現代の技術できちんと作りこまれている。そして、それらが「リーズナブル」な価格で入手

できること。公道を走れることなどの汎用性、もちろん環境への配慮も備えていること。ここがはずせない。
  こんなマシンが世の中に出たら、きっと大きな「オフロードブーム」が始まるのではないかと期待している。もちろん走る場所などのソフト面も充実させておかないのは言うまでもないが。


このみっつめのマシン「リアルオフローダー」を実現できるのは、ほかでもない、日本のメーカーしかないのではないか、ということなのだ。今、ほんの少しヨーロッパのメーカーに先を譲っているかのように見える日本のメーカーが、きっとそんなマシンを出してくれるに違いない。そんな期待を込めてこの文章を締めくくりたい。

ヤマハのニューモデルWR250RとモタードモデルのWR250Xは、アルミフレーム、インジェクションを採用。縮小傾向の日本のオフロードマーケットに一石を投じる存在。排気ガス規制など環境へのインパクトという点での持続可能性を示している点でも意欲的なモデルと言えるだろう。

   
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